versatile parisとは?
ファウンダーのCoralie Frébourg(コラリー フレブール)は2019年にパリの香水高等専門学校を卒業、2021年10月、パンデミックの最中にパリでversatile paris(ヴェルサティル パリ)という香水のブランドを立ち上げました。
香水の誕生からこれまでに築かれた現代の香水に対する固定概念、例えば「高価なものほど良質」「フローラル=女性的」であったり、高騰し続ける価格や流行りに乗った均一化された香り…こういった現状へのアンチテーゼとして誕生したのが、versatile paris。
また、消費者に安心や安全、高品質なイメージを安易に刷り込む謳い文句としての「100%ナチュラル」を良しとしないというスタンスで、科学の英知によって安全性や安定性が担保された合成素材と天然素材の良さ、どちらか一方ではなく、どちらも意図的に使用していることを明言。
数十種類の全ての香料や素材を公開して透明性を高めたコレクションからは、その信念やコンセプトの芯の強さを見て取ることができます。
小さく可愛らしくカジュアルなビジュアルからは想像できない、とても実直で新時代的、それでいてニッチを突き詰めた素晴らしい香りのラインナップです。
新感覚の高濃度ロールオンフレグランス
香水というと基本的にはスプレータイプのボトルを想像するかと思うのですが、ヴェルサティルパリはロールオンタイプ。
サイズは15mlの一種類のみ、そしてアルコール不使用でアーモンドオイルベースのビーガンフレグランスです。
15mlというサイズだとすぐになくなってしまいそうな印象を持たれる方もいらっしゃるかと思うのですが、ヴェルサティルの香水は賦香率30%~38%(通常のオードパルファンは15%程度)という高濃度のExtrait de Parfum(エキストレドパルファン)。
直接肌に必要な量をつけられるので、スプレータイプのように衣類や空気中に香水をかけてしまうような無駄もなく、高濃度タイプで香りの持続時間も長いことでつけ直しも少なくすむことから、15mlという少量ながら1日1~2回程度使用で4~6ヶ月程度使用できるような想定とのこと。
アルコールフリーのためつけた瞬間のアルコール臭が全くなく、肌馴染みの良いアーモンドオイルはベタつくこともありません。
むしろ適度に肌の保湿の役目も担ってくれているかのような付け心地。
オイルベースなので肌が弱い方にも香水を楽しんでいただける選択肢の一つにもなり得るかと思います。
もちろん15mlのとても小さなボトルは、カバンやポケットに忍ばせてどこへでも持ち歩けるので、外出先での付け直しができるのも嬉しいポイントです。
香りのクリエイションスタジオFlairによる調香
ヴェルサティルの調香を担当するのは、調香師のアンヌ・ソフィー・ベハーゲル氏とアメリー・ブルジョワ氏によって設立され、今年10周年を迎えたパリのクリエイションスタジオFlair(フレア)。
先日2023年10月のサロンドパルファンでもFlairの作品にフィーチャーしたブースがあり期間中はお二人も店頭にいらしたので、お会いしてお話された方もいらっしゃるかもしれませんね。
Flairは当店でも取り扱いのあるLiquides Imaginaires(リキッドイマジネール)をはじめOBVIOUS、19-69、BDK Parfumsなどをはじめとした数々のブランドの調香を手掛けており、今回のヴェルサティルパリのコレクションもフレアのクリエイションが反映されています。
ヴェルサティル パリの香りのラインナップ
2023年11月現在、ヴェルサティル パリの香水のラインナップは全部で8種類、価格はそれぞれ¥9,790税込です。
それではここからは全種類の香りを紹介していきます。
Croissant Café(クロワッサンカフェ)
バターを贅沢に使用した焼きたてクロワッサン、その横にはクリーミーでリッチなフォームの乗ったカプチーノの置かれた情景をイメージさせる、ブランドのベストセラーの香りであるCroissant Café(クロワッサンカフェ)。
コーヒーの苦味がクロワッサンの表面のパリッとした少し焦げた雰囲気にも思えるド直球の甘さだけのグルマンとは違った香りは、普段グルマン系が苦手な方や、初めてグルマン系を手に取る方にも使いやすいのではないかと思います。
香りのキーワード : コーヒー、カプチーノ、グルマン、クリーミー、トースト、グリル、ウッディ、バター、ホット
Accrodisiaque(アクロディジアック)
ヴェルサティルのラインナップではわかりやすいフローラル系、ベリーとハーブの緑さを感じるローズの香り、Accrodisiaque (アクロディジアック)。
レザー、スモーキーに分類されるネオローズというイメージで、後に少し顔を出してくるレザーの雰囲気も相まって、性別問わずつけたくなるようなローズだと思います。
香りのキーワード: ベジタル、ディル、ブルーベリー、ティー、抹茶、センシュアル、レザー、スモーキー、アニマル
SEA, SUD & SUN(シー、スッド&サン)
ネロリ、フィグとシルキーなムスク、そして海のような塩っぽさ。
Sea, Sud & Sun (シー、スッド&サン)はフレッシュな香りと柔らかくパウダリーな甘さが同居する、新しいマリン系の香りだと思います。
香りのキーワード: フレッシュ、パスティス、フィグ、アイス、ネロリ、ソルティー、ムスキー、トロペジアン(トロペジェンヌ)、マリン
God Bless Cola(ゴッド ブレス コーラ)
2023年10月にリリースされたばかりの最新作、つけた瞬間にキャラメルポップコーンの甘くてポップな香りと、炭酸を感じるようなコーラが同時にくる、ポップなアメリカを想像するようなグルマンノート、God Bless Cola (ゴッドブレスコーラ)。
ヴェルサティルの香りはどれもとっても美味しそうで、今回の香りも最高にブランド色が反映されている香りだと思います。
つけるだけで楽しくなるような、アメリカ色をぜひ試してみて欲しいです。
香りのキーワード : コーラ、ポップコーン、シュガー、バニラ、スパークリング、病みつき、キャラメル、温かさ、グルマン
Rital Date(リタル デイト)
「イタリア人のデート」というコンセプトのRital Date (リタル デイト)は、ジュノベーゼやオイル漬のオリーブ、料理のような美味しそうな香りが特徴的。
パスタの香りを纏うってどうなんだろう?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、この香りは肌に乗せた時こそが真骨頂。
スッキリとしたレモンやハーブの青っぽさや苦味もしっかり感じられる香り立ちに賦香率も脅威の38%という、当たり前ではありますがやはり香水としてパフォーマンスも高い作品です。
香りのキーワード : アロマティック、フレッシュ、ペスト、テイスティー、ゼスティー、リモンチェッロ、シュガー、ピスタチオ、クリーミー
Dimanche Flemme(ディモンシュ フレンム)
Dimanche Flemme (ディモンシュ フレンム)はグリーン、バジル、レモンやベルガモットなどのシトラスから、時間の経過と共にミルキーな甘さへと変化する、グリーンムスク。
ラインナップの中では比較的軽めの香りで、「Lazy day : ダラダラする日曜日」というコンセプトのように、しっかり香りを纏いたいというよりあくまでも自然体でいたい、というような気分でつけたい香りだと思います。
アーモンドのパウダリーさも感じることが出来る、ただ単に爽やかな香りで終わらないの、ネオムスク。
香りのキーワード : キーワード: グリーン、バジル、スパークリング、カルダモン、ミルキー、アーモンド、バニラ、ムスキー、ソフト
Gueule de Bois(ギュル ド ボワ)
この香りもCroissant Caféと並んで、ブランドの中でも特に人気のある香りで「Hangover : 二日酔い」がテーマのGueule de Bois (ギュル ド ボワ)。
甘いラム酒とタバコ、スパイスにバニラが、酔っ払って火照った体温を想起させる香りです。
お酒のイメージですがシロップのグルマン的甘さ、人気が出るのも分かる、そんな香りだと思います。
香りのキーワード : キーワード: スパイシー、ペッパー、インセンス、ラム、アンバリー、シロップ、まろやか、あたたかい、ウッディ
Culot Thé(キュロ テ)
Culot Thé (キュロテ)は「ティータイム」をコンセプトとした香りということで、心地良いお茶の香りが広がります。
シトラスやジャスミンしっかり感じることが出来るので、レモンを絞ったジャスミンティーというイメージ。
お茶系といえばブラックティーが香るLiquides ImaginairesのPhantasmaも、このCulot Théの調香を担当したAnne-Sophie Behaghel(アンヌ=ソフィー・ベハーゲル)による作品ということで、Phantasmaがお好きな方はきっと刺さる香りだと思います。
爽やかなのに温かみもある、オールシーズンいけるお茶系香水です。
香りのキーワード : フレッシュ、ピリッと、シトラス、フローラル、ティー、アプリコット、スパイシー、ワサビ、ソフト
2本目、3本目と欲しくなる香りたち
というわけで全8種類をご紹介させて頂きましたが、このサイズ感、クリエイション、そして比較的手に取りやすい価格帯ということで、気分や季節によって使い分ける用途として複数お持ち頂くというのもとてもオススメな使い方です。
外出時も朝はスプレータイプの香水を纏い、外出先では持ち歩きにも使いやすいヴェルサティルのロールオンを付け直す、という使い方にも最適なんじゃないかと思います。
それから最後に一つ、ヴェルサティルのロールオンのつけ方として個人的なオススメを。
通常の香水を使用するように手首や首元、ウエストなどお好きな箇所に必要量を塗っていただけたらと思うのですが、このアーモンドオイルベースのロールオンという特性を活かして、私はネイルオイルとしても使用しています。
本来保湿が目的の商品ではないのでネイルオイルと比べると軽い付け心地なのですが、私は逆にオイリーになりすぎない使い心地も気に入って使っています。
手首同様、指先も日常的に動かしていて、無意識的にスマホを持つ手が顔に近かったりした時にフワッと感じる香りはとても幸せな気分にしてくれます。
ヴェルサティルのフレグランスをお持ちの方はよかったら一度試してみてください。