リキッドイマジネールの香水を重ね付け
Lounge Saiのお客様へはここ数年間でLiquides Imaginaires (リキッドイマジネール)の香水をご紹介し続けてきたので、既に同ブランドの香水を一本以上所持されている方も少なくなってきたように感じております。
調香師の方々が作り上げる美しい作品を手に取っていただけて嬉しいです。
そんな香り作品達はもちろん単品使いでも幸せな香りに満足出来るかと思うのですが、今回は香水の使い方の幅を広げる意味も込めて、敢えてリキッドイマジネールの香水を重ね付けのオススメを紹介してみようかと思います。
先の記述の通り、基本的に調香師さんとブランドの作り上げる香りはアートにも通ずるような作品として生み出されているものであるということを前提としつつ、私個人としては「香水の付け方は自由!」と思っている派なので、お手持ちの香水を重ね付けする際の参考や、二本目のリキッドイマジネールの購入を考えていらっしゃる方、既に複数お持ちの方には重ね付けも考慮に入れてセレクトしていただければ面白いかなと思います。
重ね付けの方法
というわけで重ね付けのススメというトピックなのですが、まず私が考える重ね付けの基本的な考え方について。
「香水の付け方は自由!」ということなので、もちろん最終的にはご自由に重ねて頂けたらと思うのですが、私が普段重ねる際には「料理をするように重ねる」という意識で重ね付けをしています。
例えば「カレーが辛すぎたのでマイルドにする為にミルクを少し加える」とか、「チーズの上に蜂蜜を垂らして塩気を甘さで引き立てる」とか、そういう意識に近いかもしれないです、伝わりますでしょうか?
なので私の場合は「メイン」の香りと「サブ」の香りのように、どちらかを主としてしっかりつけて、隠し味的に二種類目の香りを乗せるというイメージで重ね付けをして楽しんでおります。
そして重ねる際も同じ場所に重ねる時もあれば、首元にメインの香り、手首にサブの香り、というように別の場所で重ねて空間で香りが混ざり合うようなイメージでつける時もあります。
そのあたりはどう香りを楽しみたいかによってかなと思いますので、重ね付けする際にはご自身に合った方法を探しながら楽しんで頂けたらと思います。
さて、前置きが長くなりましたがらここからはは実際に私が試してみて気に入ったリキッドイマジネールの重ね付け例をご紹介していきます。
まずは数年前、私がYouTubeでも紹介させて頂いたÎle Pourpre(イルプールプル) + Beauté du Diable(ボーテデュディアーブル)の組み合わせ。
元々イルプールプルを愛用しており、試しにボーテデュディアーブルが気になって重ね付けしてみたら、組み合わせた香りがあまりに良くて虜になってしまいました。
私的ベスト比率は「イルプールプル 3 : ボーテデュディアーブル 2」くらいの割合で、普段はイルプールプルを主として少し多めに使ってレイヤードしています。
フレッシュな紫蘇やイチジクの印象を持つイルプールプル、ハーブ酒のアブサンの独特な香りからフローラルな移ろいへも変化するボーテデュディアーブルを組み合わせることで、フルーティな甘さをハーブ酒が迎え入れ、バーで大人が嗜む上質なカクテルを飲んでいるような気分にさせてくれるイメージです。(私はお酒が飲めないので普段はバーも行かないのですが、雰囲気はそんな感じ。)
お酒っぽさを出しすぎないように、ボーテデュディアーブルはウエスト付近など服の中や鼻から遠いところに付けてあげると、より自然な雰囲気で混ざり合ってくれると思います。
続いてもイルプールプルを使用したレイヤード。
私はイルプールプルは年中まといたくなるような香りで通年使っているのですが、真夏の暑い日などにはちょっと重たく感じることがあります。
そんな時にSancti(サンクティ)を足してあげると、爽やかな清涼感がプラスされて、夏場でもスッキリとつけられます。
割合としては「イルプールプル 1 : サンクティ 1」という感じがお気に入りですが、イルプールプルは単体でもちゃんと主張のある香りなので、同量のサンクティをふっても感覚的にはイルプールプルの方が主の香りとして感じるのではないかと思います。
この重ね付けは甘さに爽やかさを加えるとことで、単体で使うよりも甘さがスッキリと感じられるようになる分かりやすい重ね付けなので、他の香りでも応用出来るのではないかと思います。
こちらは海をモチーフとしつつシトラスが香るNavis(ナヴィス)とブラックティーが印象的なPhantasma(ファンタズマ)の組み合わせ。
どちらも爽やかな二つを組み合わせると、暑い夏の日にアイスレモンティーの溶け出した氷がカランっと音を立てるような情景を想起させてくれます。
組み合わせの割合は「ナヴィス 2 : ファンタズマ 1」くらいがオススメです。
最後にヴュヴェールドゥヴァンとドンローザというこの組み合わせ。
この組み合わせを発見した時には、良すぎて感動しました。
Buveur de Vant(ヴュヴェール ドゥ ヴァン)のオリエンタルなレザー調の渋めの香りと、Dom Rosa(ドン ローザ)のシュワシュワと弾ける軽やかなロゼシャンパンの香りが合わさると、渋さの中に清潔感すらも感じるセクシーな香りへと昇華されます。
オススメの割合は「ヴュヴェールドゥヴァン 3 : ドンローザ 2」もしくは「1:1」くらいでも良い感じなので、お好みに合わせて調整してみて下さい。
ヴュヴェールドゥヴァンは単体だとかなりクセ強な香りでもあるのですが、ドンローザはリキッドイマジネールのベストセラーということもあり既にお持ちの方も多いかと思います。
なのでもしドンローザをお持ちの方でヴュヴェールドゥヴァンも気になっている方がいらっしゃいましたら、ぜひ重ね付けも試して頂けたらと思います。
重ね付けなら二本で三種類の香りが楽しめる
重ね付けは、二本のボトルで三種類の香りを楽しめるということも嬉しいポイントです。
新しい香水が欲しいと思っている時に、一度に複数購入するのも良いですが、お手持ちの香りと重ね付けの相性が良いものを見つけることができれば、楽しみ方が広がるかもしれませんね。
今回は自由な香水の付け方として私が実践している重ね付けの組み合わせをご紹介致しました。
2023年2月現在ではリキッドイマジネールの香水は全22種類のラインナップで構成されていて、きっとまだまだ私が気づいていない素敵なレイヤードの組み合わせもあるかと思いますので、また新しい組み合わせが見つかり次第追記していけたらと思います。
柔軟な発想で自由に香りを組み合わせて、皆様の香水との付き合い方の幅が広がるきっかけとなれば幸いです。
「リキッドイマジネール」は昇華を象徴しています。“Perfume (=香水)”の語源は、ラテン語の“Per fumus(=煙を通して)”が由来となっています。
香水は、神聖な儀式の初めにインセンスと樹脂を焚香し、神を崇め薫香を捧げていたことが起源と言われています。
Liquides Imaginaires(リキッドイマジネール)は、香水業界で実績のある二人のエキスパート、レアな香りを求めるハンター David Frossard (ダヴィッド・フロサール)とデザイナーPhilippe Di Meo(フィリップ・ディメオ)のコラボレーションによって、誕生しました。
二人に共通するのは『パフュームの持つパワー』への飽くなき興味と探求心。
彼らの情熱がフレグランスブランド創設の原点となっています。
神聖でミステリアス、魔法のようなパフュームの持つパワーに着目し、香水の物質的変化によるマジック目に見える液体が揮発し、見えないけれど、たしかにそこに漂う存在感に魅了されます。
彼らは既存のフレグランスという枠にとらわれない、新しいタイプの香水を求めながらも、香水の原点に立ち返り、本質を追及する手を緩めません。
トリロジーは、香りのテーマ毎にコンセプトがあり、人の心を魅了し、自己の内面に向き合う旅へと誘い、熟練した職人が手がけた特別なボトルはおとぎ話に登場するような宝石で装飾されたアンフォラの壺を彷彿とさせます。
香りの魔法にかけられるのは、信仰心をまとうような感覚です。
胸の奥深くにしまい込んだ人生、記憶、欲望と対峙し、新たな自分に出逢うことができるでしょう。